信長に先んじた天下人「三好長慶」
【徳島県立博物館所蔵】
~2022年 三好長慶 生誕500年~
阿波出身の戦国武将・三好長慶(1522年生~1564没)は、室町幕府を支える有力大名細川氏の重臣として畿内で力をたくわえ、やがて主君の細川氏、さらには室町将軍をもしのぐ権力者へとのぼり詰めます。
その勢力圏は、最盛期には山城・大和・摂津・河内・和泉の五畿内、そして阿波・淡路・讃岐・丹波・丹後・播磨東部にまで及びました。
広大な勢力圏を治めるため、長慶を支えたのが多くの一門・重臣たちです。
中でも、故郷阿波を委ねられ、兄の覇業を助けた弟・三好実休の功績はよく知られるところです。
天下人・長慶をいただくこの「三好政権」は、織田信長や豊臣秀吉に先駆けて足利将軍中心の室町幕府体制から脱却した中央政権として、近年の学界で大きな注目を集めています。
また、三好政権の時代は茶の湯・キリスト教・鉄砲といった新たな文化・技術が普及し始め、後の桃山文化へとつながる母体が形成されていく、文化史の変革期にも位置付けられます。
三好氏ゆかりの史跡は、畿内では西宮市・高槻市・大東市・堺市など、徳島県内でも長慶が誕生したとされる芝生城(三好市)や、実休が本拠とした勝瑞城館(藍住町)など、数多く存在します。
それぞれの地では様々な歴史イベントが催され、相互交流も試みられています。
四国と畿内を股にかけた三好氏は、今も大阪湾沿岸をつなぐ架け橋となっているのです。
【徳島市立徳島城博物館 森脇 崇文 監修】