【離島を巡る旅】サスティナブルな風景が広がる離島・出羽島(てばじま)編
徳島県南部、牟岐町にある有人の離島・出羽島(てばじま)。四国本土から連絡船でわずか15分の位置にある漁業の島です。かつては1000人以上が暮らすほどに栄えていましたが、今は50名程が生活するのどかな島になっています。有名な観光地やエンタメ施設はありませんが、静かでスローな時間が流れる雰囲気を求めて息抜きにやってくる人もいます。今回はそんな出羽島を巡る観光ツアーに参加してきましたよ!
四国の右下サスティナブルツアー
今回参加したのは、四国の右下観光局が『四国の右下サスティナブルツアー』を将来的に確立するために行ったインバウンド(外国人)を含む参加者によるファムトリップです。地域の案内人のもと、出羽島にあるSDGsの要素を含むコンテンツを体験することが主な目的です。
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出羽島へは1日6往復する連絡船が出ていて、ツアーでもその船に乗って島へと渡ります。港へ入ると、あまり見慣れない木があったり、港に隣接して集落があったりと、すでに本土とは違う雰囲気。
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上陸したらまずは港近くにある『波止の家(はとのいえ)』へ。ここは島の交流施設となっていて、のれんが出ている時は観光客も休憩場所として利用できます。ちなみに、案内人の方が腰掛けている縁側のような部分、これは実は“雨戸”なんです。普段は雨戸として閉じている部分を上下に開いて、上は庇に、下は縁側として使えるようになっています。これを『ミセ造り』といって、出羽島の多くの家がこのような造りになっており、その古くからの姿を今に残しているため、出羽島の集落は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
出羽島の情緒あふれる重伝建の町並み
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ツアーでは波止の家だけでなく、港周辺に密集している家を散策しながら見て回ります。なんともノスタルジックで情緒のある家ばかりで、街中の喧騒とは無縁といった感じ。
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庭にバナナが実っている家があったり、
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こんな素敵な路地もあり、この地域ではこういった路地のことを『あわえ』と呼ぶのだそうです。
集落を見て回っていると、外壁に欄間のような装飾が施された家がたくさんあります。これも出羽島の家の特徴のひとつなのだとか。可愛い模様の家もあって、ツアー参加者の皆さんは写真を撮るのに夢中でした。
奇跡の池を目指し、出羽島トレッキング
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散策中、他にツアー参加者の目を引いたのがこの水槽に入っている植物。これは『シラタマモ』といって、日本国内で自生している場所は数少なく、とても珍しい藻類です。このシラタマモは島の南西部にある『大池』に自生しているようなのですが、島の南側は山になっているため、現地に行くには山越えをすることになります。
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とはいえ、道中は遊歩道のようになっていて、トレッキングを楽しみながら大池に向かうことができます。しかも、登山道を撮影するだけでこの映えよう…。
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出羽島には猿や猪、マムシなどはいないため、比較的に安心して登ることができます。山とはいえ、小高い丘くらいの規模なので登山慣れしていない方でも心配ありません。
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トレッキング中は案内人の出羽島トークを聞きながら進んでいきます。山中には珍しい植物もあって、案内人の解説にみんな聞き入っています。
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植物だけを撮影しても絵になるのが出羽島トレッキング。道中いろんな美しい景色に足を止めながら進んでいきます。
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そして、30~40分かけて大池がある海岸に到着。この辺りは大きな岩が多く、足場が良くないので充分に注意が必要です。
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こちらがシラタマモが自生するという大池です。この大池は山から流れてくる淡水と海から流入する海水が1:2の割合で混ざった汽水の池で、その絶妙な割合がシラタマモの生育にぴったりなのだそうです。シラタマモは生物が海水から淡水へと生存圏を移していく進化過程の植物だといわれていて、「生きた化石」とも呼ばれています。そんなシラタマモが日本で数少ない自生する大池はまさに奇跡の池です。パワースポットのようなこの場所でしばらく深呼吸。
外来植物を駆除してアクセサリーに
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トレッキングから戻った後は、出羽島にたくさん生えているランタナという植物を採取。このランタナは美しい見た目とは裏腹に、世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれているほど生態系に影響を及ぼす危険な植物です。今回のツアーではそんなランタナの駆除作業も行います。
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そして、駆除したランタナはこんな素敵なアクセサリーに!本来の生態系を守る駆除作業がアクセサリー作りにもなるという、観光のお土産も兼ねたSDGsコンテンツだったのですね。
トレッキングをして駆除作業もしたら、お腹が空いてきました。というわけで、最後は波止の家に戻ってお食事タイムです!
出羽島郷土料理・押し寿司
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今回のツアーのランチメニューは、牟岐町の郷土料理である押し寿司。島のお母さんたちに教えてもらいながら、自分たちで押し寿司を作っていきます。
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酢飯は島のお母さんたちが用意してくれていますが、この酢飯に牟岐町の押し寿司のポイントがあるそうです。酢飯には、鯛の旨みを加えた柚子酢を使っているそうで、これが味の決め手。そんな特製の酢飯の中に具材をたっぷり詰め込み、木の型枠でギュッと押し固めて完成です。
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こちらが完成した押し寿司ランチ。島そうめんもセットになっています。こちらのそうめんのつゆも鯛の出汁でできているのだとか。さすが漁師の島!押し寿司もそうめんも、しっかり魚介が生かされている素晴らしいご当地グルメです。(要予約)この押し寿司と島そうめんは、文化庁が指定する100年フードに登録されています。
食事が終わったら、最後は今回のツアーの振り返り。参加者のみなさんが口を揃えて言うのが、「風景と雰囲気が素晴らしい」ということ。たしかに出羽島には決して作為的ではないアートな風景があちこちにありました。華美な観光コンテンツはないですが、唯一無二の情緒ある魅力が出羽島にはあります。今回のツアーはファムトリップでの実施でしたが、2024年には正式に着地型ツアーとして販売が予定されているとのこと。後日、四国の右下観光局のHPに公開される予定ですので、気になる方はチェックしてみてくださいね。